中小企業診断士2次試験平成25年度事例Ⅰ

 事例企業の方向性、向かうべき方向。これが分からないと最後の提案・助言ができない。なぜならこの提案・助言で事例企業をゴールに導かなければならないからである。この企業の方向性は、最終段落に書かれている、「A 社も今後岐路に立つことになるかもしれません」がヒントであろう。なぜ岐路に立つのか、次世代の担う商品開発が登場しているわけでない中で、大手が新市場を開拓するためである。なぜ、大手が開拓すると岐路に立つのか。第3段落で、この市場の参入障壁が低いことが書かれている。そして第5段落で、実際に大手メーカーの参入でA社は苦戦を強いられた過去が書かれている。すなわち、A社は次世代を担うような新商品の企画・開発が急務であり、継続的に企画・開発できる体制が必要だある。これこそがA社の方向性であろう。

 では、A社の最大の強みは何か。オペレーターである。ここだけは自社でいろいろな条件を考慮して直接採用している。オペレーターが営業の役目を果たし、古くは非正規社員でありながら全員で日々の業務をこなしていた。すなわち、全員一丸となって会社を大きくしてきたようだ。そして離職率も低い。言い換えればロイヤリティがあり、販売力のあるオペレーターである。この強みとサプリメント市場の拡大傾向という機会とで会社は大きくなった。

 しかし、参入障壁が低いため新たな商品企画を打ち出さないと岐路に立つことになるわけだ。ここで、気になるのは開発でなく企画である。A社では開発はできない。A社は販売会社であり、エンドユーザーと接点約である。このエンドユーザーとの接点を持っているのはA社の中では強みであるオペレーターである。第6段落に成功の1因である宣伝広告は強みでもある為、A社が主導的に行ってきた。いわゆる成功体験が書かれている。この成功体験、オペレーター、消費者情報をどう企画開発に結びつけるのか。同じ第6段落に顧客データ―ベースの構築を外注したと書かれている。ここでストーリーが出来そうだ。強みであるオペレーターが収集した顧客の定性的な情報を独自に構築しデーターベースで、商品企画に反映さすことである。

 問題を見てみると、第1問、第2問は強みであるオペレーターのことである。この強みが無くならないように分析、助言を求めている。そして、第3問では、非正規社員とは違って正規社員の雇用の必要性を求めている。第4問は核心の新商品開発である。強みであるオペレーターを使い、データーベースを活用し、そこに正規社員をむすびつけて新商品を開発することが解答になる。一番悩むのがこの正規社員の活用の仕方である。第3問が重要になる。単に情報収集や情報活用だけであれば、中途社員でも構わない。いやその方が効率もいいし、時間的にも早い。にもかかわらず、なぜ大学新卒を採用するのか。答えは、第5段落にあるように思える。業務全般の把握、ロイヤリティ、社風の継承などが頭に浮かぶ。

 2次試験はオブラートに包んだような事例が多い。その中で、どうしても問題の枠から出てしまいがちだが、枠から出るのはタブーである。どんなに苦しくても枠内で答えを導くのがこの2次試験である。ここがこの試験の難しさである。

 

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